外国のDV法事情“お国変われば法も変わる!?”

2008年1月24日 (木)

外国のDV法事情 “お国変われば法も変わる!?  米国カリフォルニア州の場合

昨年12月、一部新聞で「カリフォルニア州でDV法により逮捕・拘束される日本人が多いので、注意を在サンフランシスコ総領事館がHP上で渡航者に呼びかけている」という内容のニュースが報じられた。

先日、宇都宮のDV殺人を伝えたフジTVの「とくダネ!」でコメンテーターが言っていたが、アメリカではDVについて法律が厳しいということなのだが、 その実態を具体的に表しているのが上の新聞報道である。では、実際に在サンフランシスコ総領事館のHPにいって確かめてみよう。

総領事館のHPのホームのページ、「安全」のカテゴリーの中に「ドメスティック・バイオレンス」がある。

ドメスティック・バイオレンスによる逮捕・拘束事例の頻発

1.はじめに…
当地では、交通違反を除き、観光旅行者を含め邦人が最も多く逮捕される犯罪がドメスティック・バイオレンスです。これは、ドメスティック・バイオレンスに関しての日本とアメリカの捉え方、制度及び法律等の違いによることに起因していると思われます。
  カリフォルニア州では、ドメスティック・バイオレンスに関する法律が厳格に定められており、夫婦や恋人同士における暴力(口論、喧嘩等を含む)は、夫婦間、恋人間だけの当事者同士の問題とは見なされず、警察が介入して犯罪として厳しく処理(逮捕・処罰)されます。(デートDVも対象です!)

2.こんなことで、こんな場所で…
日本では家庭内での夫婦喧嘩の際、口論の末に物を壊したり、思わず手を出してしまった行為などは単なる夫婦喧嘩で済まされることが多いと思いますが、カリフォルニア州ではドメスティック・バイオレンスは犯罪として扱われます。特に、室内における大声での口論公共の場所(空港、レストラン、観光地、コインランドリー等)でのちょっとした行き違いからの口論に端を発した些細な暴力行為でも、これを見聞した隣人、通行人等により直ちに警察に通報されるケースが多く警察官が臨場した場合は、以後の犯罪を未然に防止するという観点から現場では双方の言い分を聞かず関係者の一方を拘束します。

3.万が一逮捕・拘束されたら…
拘束後は、軽微な場合でも、通常、接見禁止命令が出されて夫婦でも会うことはできませんし、保釈されるためには事案内容によって異なりますがおよそ25,000ドルから50,000ドル程度の高額な保釈金が必要となり、精神的にも経済的にも過大な負担を強いられます。また、結論(有罪・無罪・事案の取り下げ等)が出るまでには相当の日数もかかります。
  万が一警察など法執行機関により身柄が拘束された場合、日本人は、日本大使館や総領事館へ通報を依頼する権利を有しております。これは、日米領事条約及び領事関係に関するウィーン条約により認められた権利です。警察等の捜査機関に逮捕された場合には、必ず、この権利を行使し、当館に通報して下さい。当館では、必要に応じて、①弁護士に関する情報提供、②通訳に関する情報提供、③日本の親族等への連絡等を行います。

4.ここ1年以内に当館が関わったドメスティック・バイオレンスの事例は…

日本から邦人男性が友人である当地留学中の女子学生宅を訪問した際、帰国前日に些細なことから口論となって女子学生を殴り、これを聞いていた隣人が警察に通報したため、駆けつけた警察に逮捕された。

恋人同士の留学生が自宅(男性宅)で喧嘩となり、思わず女性を殴ってしまったところ、この騒ぎを聞いた隣人が警察に通報したため、駆けつけた警察に逮捕された。

米国人夫と自宅で夫婦喧嘩の翌日、夫が警察に訴えたため、妻が逮捕された。

日本から夫婦で当地を旅行中、お互い疲労が溜まっていたため、コインランドリーで些細なことがきっかけで口論となり、思わず日本人夫が米国人妻の衿を掴んでしまったところ、これを見ていた通行人が警察に通報夫が逮捕された。妻が警察に弁明しても聞き入れられなかった。

幼児2人と一緒に米国を家族旅行し帰国の際、サンフランシスコ空港内の国際線荷物検査所付近で些細なことで夫が妻を殴ってしまい見ていた周囲の人が警察に通報したため、逮捕された。

邦人女性が帰国の際、サンノゼ空港内の車寄せに駐車中、自動車内で荷物のことで国人恋人とトラブルになり腕を掴んだところ恋人に通報され警察に逮捕された。

5.最後に…
以上の事例からもいえるようにドメスティック・バイオレンスは、お互いの些細な行き違い、疲れが出ている時や余裕がない場合に、冷静さを失って起きています。いずれにしても、日本でもアメリカでもドメスティック・バイオレンスは犯罪であることを十分に認識しておく必要があり、特に当地では逮捕・拘束される事例が頻発しておりますのでご注意下さい。

不明な点につきましては、事前に総領事館領事班まで
お問い合わせ下さい。
住 所:Consulate-General of Japan
50 Fremont St. Suite2300 San Francisco, CA 94105
電 話:(415)777-3533

以上、在サンフランシスコ日本国総領事館 で確認できます。

昨年5月19日、東京都文京区・文京シビックセンターで、アウェア主催*DV加害者からのメッセージ「DVってなんだろう?」で自らのDVについて加害者男性たちが語った。加害者が体験談を話す企画というのは画期的だ。

その中の一人、会社員の石原(仮名)さんが話し出した。2006年に妻と娘と3人で家族旅行に訪れた 米カリフォルニア州のディズニーランドでの出来事だった。妻が自分にカメラをなかなか渡さなかったという些細な理由で、妻の腿を蹴り上げた。その瞬間、ディズニーランドのあちこちから職員や警官が大勢現れ、周りを取り囲まれて手錠をかけられたのだ。そのとき何が起きたのか分からなかったという。しかし、彼はDV行為が原因逮捕された。米裁判所から加害者プログラムの参加を命令され、しかたなく東京の民間団体「アウェア」(山口のり子代表)に連絡をとったという。石原さんは52回の加害者プログラムを受け、その後さらにもう一年プログラムに通うことにした。「今はあの時逮捕されてよかったと思う」と加害者が語るDV防止講座で自分を振り返り語る。

「DVは犯罪」これがアメリカ・カリフォルニア州の現実です。日本では「DVが相手の人権を侵す犯罪」という認識がとても低いのではないでしょうか? これは加害者・被害者ともにDV・暴力を認識する力が弱いと思います。そしてDVをする加害者の90%以上が男性である、その背景には女性を対等な人として尊重するという考えや社会の仕組みができていないということがあります。私たちの考え方・価値観がそういう社会を作り、認め、次代に繋いでいるのです。今ここでDVを根絶し、尊い命が犠牲になることがないように、子どもが傷つけられることがないようにしていくことが急務です(DVは親密な同性間でも起こりますし、女性の加害者もいます。どんな人でもDVの加害者・被害者になる可能性があります)

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